首都直下地震:被害想定 都市型災害の特徴、浮き彫りに
都が28日に発表した首都直下地震による被害想定の最終報告は、東京湾北部を震源とするマグニチュード(M)6・9の地震が冬の夕方6時(風速6メートル)に発生した場合、死者は中間報告より500人多い約2800人になると修正した。家具の転倒などによる死者を加えたためで、負傷者も計約7万5000人のうち約3分の1が家具によるものとした。また、マンションなどの中高層住宅ではエレベーターが停止したり断水したりするため、住民は建物が倒壊しなくても避難せざるを得ないと指摘、都市型災害の特徴が浮き彫りになっている。【大槻英二】
■交通被害
幅13メートル未満の狭い道路のうち、建物の倒壊などでふさがれる危険の高い地域は、区部東部では荒川沿いに、区部西部では環状7号線沿いに集中すると指摘。鉄道の橋や高架橋は震度6強のエリア内316カ所で被害を受ける。このうち復旧に長期間を要する大被害は14カ所。羽田空港は3本の滑走路のうち、液状化対策が済んでいないA・C滑走路が使用不能になる可能性がある。
■ライフライン
ライフラインの復旧にかかる日数は、電力は6日、通信は14日と比較的早いが、上下水道は21日、ガスは22日と3週間以上かかる。
発生直後に建物の被害が原因で避難する人は約166万人。避難者数のピークはエレベーターの停止や断水による生活の支障が大きくなる1日後で、約271万人。
■中高層住宅
中高層住宅は、地震によりエレベーターが停止したり、断水によって生活が困難になり、住民は建物が倒壊しなくても避難せざるを得ないとしている。特に受水槽が屋上に設置されているケースが多い古い住宅では、建物が高いほど揺れによって損傷を受ける可能性が高く、飲料水の確保だけでなくトイレなどの排水処理も困難になる。使用頻度の高いトイレのために遠距離を移動するのは、高層階の住民や高齢者にとっては負担だ。
■「発想の転換を」
帰宅困難者数が約448万人に上ることに関して、都防災会議地震部会委員の中林一樹・首都大教授(都市防災)は「帰宅困難者は急いで帰ろうとせず、ゆっくり帰ることを考えて混乱を避けるなど、従来の震災対策とは少し発想を転換する必要がある」と指摘している。
■M7・3の場合
阪神大震災級のM7・3の地震で同様の条件を想定すると、死者は5638人、負傷者は15万9157人。さらに関東大震災の時と同じ風速15メートルに条件を設定すると、死者は最大となり6413人に上る。
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◇東京湾北部地震被害想定
(M6.9 冬夕方6時 風速6メートル)
死者 2782人
負傷者 7万4645人
全壊建物 24万2858棟
帰宅困難者 447万6259人
避難者 270万8019人
(ピークは発生1日後)
エレベーター閉じ込め 最大7520台
震災廃棄物 2320万トン
毎日新聞 - 3月29日
