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トヨタ復旧に手応え 総力で部品メーカー後押し

新潟県中越沖地震のために国内全工場が操業停止に追い込まれたトヨタ自動車は、約1週間後の24日で、一部の生産再開にこぎつける。今回の地震では在庫を極力少なく抑える「トヨタ生産方式」の脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りになったが、被災した部品メーカーの復旧を総力を挙げて後押ししたトヨタの底力も見せつけたかたちだ。ただ、たった一つの部品工場の操業停止が自動車産業全体を機能停止させるという現実は重く、具体的な危機管理策の強化が求められる。(小雲規生)

≪再開は約半分≫
トヨタが操業を再開する車両組立工場は国内18工場のうちの13工場で、24日の生産台数は8000台程度になる見通し。通常時の1万7000台の半分程度だが、リケンの工場の復旧具合を見極めながら、「再び部品が不足しないと見込めるペースで復旧を始める」(幹部)という。

世界的に需要が高まっているハイブリッド車「プリウス」を生産している堤工場(愛知県豊田市)などは操業停止が続く。これは、プリウス用の部品供給が完全に復旧しない現状では、「ノア」「ヴォクシー」も生産するトヨタ車体の富士松工場に集中させるため。再開にあたって、生産の集中による効率性にも配慮した。
この結果、24日段階での減産ダメージは約5万5000台とみられるが、渡辺捷昭社長は23日の年央記者会見で「今後の生産強化で取り戻して、国内外に供給していく」と強調した。

≪生かした経験≫
トヨタが全工場の生産停止に追い込まれた背景となったのは、必要な量の部品を必要なタイミングで工場に供給し、極力在庫を持たないようにするトヨタ生産方式の問題だった。この方式では、部品工場から完成車工場までの動きが一つの流れとなるため、「一部分だけ稼働を止めると非効率になる」(渡辺社長)からだ。

一方で、トヨタはリケン柏崎事業所の早期復旧に全力を注いだ。地震発生の16日以降、設備復旧や完成品のチェックなどの技能を持った技術者ら約400人を派遣。派遣部隊の隊長として阪神大震災時に工場復旧の経験がある人材をあて、自分たちの食料を持ち込んで現地入り後の混乱を避け、情報の共有化も進めて非効率な動きを減らすなどの成果をみせた。内山田竹志副社長は「過去の災害復旧に比べて、かなりスムーズに状況を改善させることができた」と話す。

≪残された課題≫
ただ、今回の地震がトヨタに突きつけた課題は、解決されたわけではない。例えば、トヨタの生産拠点は愛知県内に集中しているが、この地域が災害に見舞われた場合の危機回避策が十分に取られているとはいえないからだ。

トヨタもこうした問題意識を持ち、生産拠点が特定地域に集中している部品をリストアップ。「一部の生産拠点を北海道に移すなどの対策を取り始めている」(内山田副社長)という。

トヨタを初めとする自動車各社は、効率性を目的とした特定地域での集中生産や特定メーカーへの部品発注を進めてきた。しかし、この施策は緊急時に被害が拡大する大きなリスクをはらんでいた。それだけに、「販売台数世界一」の規模を誇るトヨタには、リスク回避への重い責任もかせられている。

7月24日 産経新聞

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